小児感染症科医のお勉強ノート

群馬で小児の感染症を専門に診療しています。最新の論文紹介や病気のまとめを紹介します。

センセー、胃残破棄ですか、戻しますかー?

 経鼻胃管(NGチューブ)を挿入している患者さんを診療していると、注入前に異内容の残存(いわゆる胃残)があることがあります。消化しかけの栄養剤などであることが多いのですが、これを棄てるのか、戻すのか、よく聞かれます。
 正直、どっちでも良いかと思っていたのですが、今回紹介する成人の重症者を対象としたメタアナリシスでは、「胃残は、破棄しても戻しても、どちらでも良い」というのが、結論のようです。
 胆汁性胃残、血性遺残は、破棄した方が良いような気はしますが、そうでなけでは、どちらでも大丈夫ではないでしょうか。
 
Is discard better than return gastric residual aspirates: a systematic review and meta-analysis
Wen Z, et al. BMJ Gastroenterol. 2019;19:113
 
背景:
 胃内容の残存量(いわゆる胃残)の評価は、重症治療室では一般的に行われている。しかし、胃残を廃棄または戻した場合の効果と安全性は不明である。そこで、重症患者において胃残の廃棄または戻しの役割を評価することを目的とした。
 
方法:
 重症患者において胃残を破棄するか戻すかで有効性と安全性を検討した無作為化比較試験(RCT)の包括的な系統的メタアナリシスを行った。Pubmedなどのデータベースを検索して対象となる研究を同定した(2018年9月31日まで)。アウトカム評価に固定またはランダム効果モデルを用いて、オッズ比(OR)または平均差(MD)を算出した。
 
結果:
 4つのRCT、計314人の成人患者を解析対象とした。48時間目の胃残の量(MD=8.89、95%CI:11.97~29.74)、平均カリウム値(MD=0.00、95%CI:-0.16~0.16)、胃内容排出遅延(OR=0.98、95%CI:-0.16)、誤嚥性肺炎の発生率(OR=0.93、95%CI:0.14~6.17)、悪心・嘔吐(OR=0.53、95%CI:0.07~4.13)、下痢(OR=0.99、95%CI:0.58~1.70)に有意差は無かった。
 
結論:
 胃残を戻すことは、廃棄するよりも、合併症を増加させることなく、有益であることを確認できなかった。胃残の廃棄または戻しの役割を検証するために、多施設で大規模ランダム化比較試験を検討する必要がある。

 

f:id:PedsID:20201122073613p:plain

 

f:id:PedsID:20201122073634p:plain

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov