小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

レボフロキサシンは、小児白血病・造血幹細胞移植患者の菌血症の予防に有効(RCT)

Effect of levofloxacin prophylaxis on bacteremia in children with acute leukemia or undergoing hematopoietic stem cell transplantation
JAMA. 2018; 320: 995
 
 急性白血病および造血幹細胞移植(HSCT)を行う小児患者で、菌血症の予防の抗菌薬投与に関しては、十分なエビデンスがなかった。
 
 この研究では、急性白血病とHSCTで強力な化学療法を行う小児にレボフロキサシンを予防的に投与し、菌血症が予防できるかを検討した。
 対象は6ヶ月から21歳までの、急性白血病患者(AMLもしくは再発性ALL)またはHSCTを実施した患者で、2011−2016年に登録された。USとCanadaの76の医療機関で実施された。
 対象患者は、白血病では2回の化学療法で、HSCTでは移植期間に、レボフロキサシンまたはプラセボを予防的に投与された。
 624名の患者が研究に登録し、急性白血病は200名、HSCTは424名であった。急性白血病では、菌血症の頻度は21.9% vs 43.4% (risk difference, 21.6%; 95% CI, 8.8-34.4%, p=.001)で、レボフロキサシン群で有意に低かった。HSCTでは、菌血症の頻度は11.0% vs 17.3% (risk difference, 6.3%; 95% CI, 0.3-13.0%, p=.06)で、レボフロキサシン群で有意に低かったが、有意差はなかった。好中球減少性発熱の頻度は、レボフロキサシン投与群で低かった(71.2% vs 82.1%)。しかし、重症感染症や侵襲性真菌感染症CDI、筋骨格系への副作用の頻度は変わらなかった。
 
 今まで、成人のFNに対して、レボフロキサシンの投与は、一般的になりつつありますが、小児でのエビデンスは不十分でした。この研究は、これまでで最もしっかりしたデザインで、レボフロキサシンの有用性を示した、非常に重要な論文です。
 しかし、このようにレボフロキサシンを積極的に使用する流れは、Gram陰性菌のキノロン耐性を増加させる懸念もはらんでいます。
 また、対象患者に小児に多いALL初発例が含まれませんでした。これは、化学療法の強度や菌血症の頻度が低いことが影響しているのでしょうか?
 レボフロキサシンは、日本において小児に禁忌となっているため、日本においては適応しにくい面があります。添付文書の改定などを働きかける必要があるかと考えます。小児に(添付文書上)使用可能なトスフロキサシンには、FNの予防のエビデンスはありません。

 

 

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