発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN)は、内科的エマージェンシーです。早期に、血液培養の採取を行い、緑膿菌に活性のある抗菌薬を速やかに投与する必要があります。しかし、他の感染症と異なり、感染巣が判明する割合は低く、起炎菌も明らかにならないケースが多いです。
FNの時に、ビリダンス連鎖球菌が検出された場合、注意が必要です。
・ARDSやトキシックショック症候群など、急激な全身状態の悪化が起きうる
・(例外的に)ペニシリン耐性株が多い
連鎖球菌が血培から検出された場合、速やかにバンコマイシンなどグリコペプチド系抗菌薬を投与することが重要です。
Viridans Group Streptococcal Infections in Children After Chemotherapy or Stem Cell Transplantation
Medicine (Baltimore). 2016;95:e2952.
はじめに
ビリダンス連鎖球菌(VGS)は、発熱性好中球減少症において、高い死亡率と関連する。抗菌薬選択に関する情報となる欧州の小児を対象とした研究は、最近は発表されていない。悪性腫瘍または造血幹細胞移植後にVGS菌血症(VGSB)を発症した小児の特徴、転帰、および薬剤感受性パターンを明らかにすることを目的に、本研究を実施した。
方法
本研究では、2003年から2013年までに、VGSBを発症して英国の3次小児血液腫瘍センターに入院した0歳から18歳までの患者を対象とした。すべてのデータは診療記録から後方視的に収集した。46人の患者に合計54件の菌血症エピソードが発生した。最も多い基礎疾患は、急性リンパ性白血病再発であった。Streptococcus mitisが最も分離頻度の高い菌であった。分離された菌のうち30%がペニシリン耐性を示した。バンコマイシンは100%感受性であった。VGSによるトキシックショック症候群は、8例(14.8%)に発生し、そのうち6例は集中治療室への入院し、3例は多臓器不全により死亡した。
結論
VGSBは、発熱性好中球減少症において、致命的となりうる。急性リンパ性白血病再発患者において、リスクが高い。発熱性好中球減少症における経験的抗菌療法の指針として、VGSのトキシックショック症候群のリスクがある小児を特定するリスク層別化スコアを開発する研究が必要である。
基礎疾患
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エピソード数
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ALL(再発を含む)
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20
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AML(再発を含む)
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11
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リンパ腫
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7
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固形腫瘍
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13
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非悪性腫瘍のBMT後
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3
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起炎菌
菌種
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症例数
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Streptococcus mitis
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35
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Streptococcus oralis
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10
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S. mitis and S. oralis
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3
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Streptococcus salivalius
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3
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Streptococcus viridans
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2
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Streptococcus sanguinis/gordonii
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1
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