小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

不活化水痘・帯状疱疹ウイルスワクチンは、成人の固形悪性腫瘍患者に接種した場合、安全で帯状疱疹を減らす効果がある

Safety and efficacy of inactivated varicella zoster virus vaccine in immunocompromised patients with malignancies: a two-arm, randomised, double-blind, phase 3 trial
Lancet Infect Dis 2019; 19: 1001-12
 
 成人の固形悪性腫瘍患者と血液悪性腫瘍患者に、不活化水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)ワクチンを接種した場合の効果と安全性を確認するための研究です。
 本研究は、第3相のランダム化二重盲検プラセボ対比他施設研究(two-arm, randomised , double-blind, placebo-controlled, multi center trial)です。40カ国329施設が参加しました。
 対象患者は、成人の固形悪性腫瘍患者で、化学療法を受けている患者と、血液悪性腫瘍患者です。患者を1:1の比率で、γ線照射により不活化したVZVワクチンとプラセボを接種する群に割り付けました。接種スケジュールは30日間隔で4回です。Primary endopointは帯状疱疹の発症頻度と副作用発生頻度です。
 2011年から2017年に5286名の患者が割り付けられました。ワクチン接種群は2637名、プラセボ群は2649名です。血液悪性腫瘍患者群は途中の解析で、ワクチン接種の効果がないことが判明し、途中で打ち切られました。固形悪性腫瘍患者では、ワクチン群で22/1328名(6.7/1000人年)、プラセボ群で61/1350名(18.5/人年)の、帯状疱疹が発生しました。これから推定されるワクチン効果は、63.6%(97.5% CI; 36.4-79.1%)でした。重篤は副作用の発生率は、両群間で差はありませんでした。血液悪性腫瘍患者群でのワクチン効果は、16.8% (95% CI; -17.8-41.3%)でした。
 不活化VZVワクチンは、忍容性が高い。化学療法を受けている固形悪性腫瘍では、効果が高いが、血液悪性腫瘍患者では、効果が認められなかった。
 
 
 Phase 1,2の段階では、血液悪性腫瘍患者でも、有効な免疫反応が得られることが認められていたが、実際には、十分な臨床的な効果はなかった。

f:id:PedsID:20190910205810p:plain

f:id:PedsID:20190910205816p:plain

f:id:PedsID:20190910205827p:plain

f:id:PedsID:20190910205838p:plain