小児感染症科医のお勉強ノート

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麻疹ワクチンを生後12ヶ月未満で接種すると、長期的には抗体価が低下しやすくなる(オランダから)

麻疹ワクチンを生後12ヶ月未満で接種すると、長期的には抗体価が低下しやすくなる

 

J Infect Dis. 2019 Apr 11. pii: jiz159. doi: 10.1093/infdis/jiz159. [Epub ahead of print]

Early measles vaccination during an outbreak in The Netherlands: reduced short and long-term antibody responses in children vaccinated before 12 months of age.

 
生後6−12ヶ月の間に1回目の麻疹ワクチンを接種(2回目は14ヶ月)を受けた79名とオランダでの接種スケジュールに則り生後14ヶ月で初回の接種を受けた44名について、麻疹抗体価の推移を比較した。接種時、6週間後、1年後、3年後に血液検査を行った。
 
12ヶ月未満で接種しても、6週間後にはほとんどの患者で十分な抗体上昇が得られた。しかし、長期的には、早期に接種した場合には、中和抗体の低下が早くなった。生後9ヶ月未満に接種した場合には、4歳時点で、11.1%の患者の麻疹抗体価は基準値以下に低下していた。
アウトブレイク時には、12ヶ月未満に麻疹ワクチンを接種すると、早期に抗体の上昇が得られるが、長期的には、12ヶ月未満の接種は、抗体価が下がりやすくなるので注意が必要。