小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

コロナ後に子供のスクリーンタイムは1時間20分増加した

 ある程度予想はしていましたが、かなり衝撃の結果です。
 コロナのパンデミック後に、子供のスクリーンタイムは、1日あたり2.7時間から4.1時間に約1時間20分も増加しました。
 しかも、教育的な内容が増えたのではなく、テレビ、ビデオゲームSNSの利用が増加していました。ついつい子供にYoutubeなんかを長時間見させてしまうことがありますが、気をつけないと、行けないですね。
 
Assessment of Changes in Child and Adolescent Screen Time During the COVID-19 Pandemic A Systematic Review and Meta-analysis
Madigan S, et al. JAMA Pediatr. 2022. PMID: 36342702
 
はじめに
 COVID-19の流行を抑えるため,小児に対して,休校,隔離,社会的距離の確保,課外活動の中止など,多くの制限が課されたが,これらはスクリーンタイムのパターンを変化させた可能性がある.パンデミック前後を比較することによって、小児のスクリーンタイムの時間、内容、状況の変化を推定し、スクリーンタイムがどのように変化したか明らかにすることを目的とした。
 
方法
 2020年1月1日から2022年3月5日の間に,MEDLINE,Embase,PsycINFO,Cochrane Central Register of Controlled Trialsなどの電子データベースの検索を行った。合計 2474 件の報告が検索で見つかった。研究の選択基準は、パンデミック前とパンデミック中のスクリーンタイムの時間(1日当たり分)の変化を報告したものとし、小児・青年・若年成人(18歳以下)が対象となるもので、縦断的または後ろ向き研究で、査読制度がある英文論文とした。合計136の論文が対象となった。2022年4月6日から2022年5月5日までのデータをランダムエフェクトメタ解析で解析した。主要アウトカムは、COVID-19パンデミック前後の1日のスクリーン時間の変化である。
 
結果
 46件の研究(146件、29017人、男性57%、平均年齢9[SD]4.1歳)をメタ解析した。パンデミック前の基準値162分/日(2.7時間/日)から、パンデミック後には+84分/日(+1.4時間/日)と52%スクリーンタイムが増加したことが判明した。特に、12~18歳(k=26、110分/日)、デバイスの種類(タブレット端末(k=20、44分/日)、パソコン(k=13、46分/日))で顕著に増加した
結論
 COVID-19の流行は、小児の生活やルーチンに大きな影響をもたらし、スクリーンタイムの増加につながっていると思われる。子どもや保護者と接する際には、健康的な端末使用の習慣を促進するべきと示唆している。例えば、毎日の使用時間を短くする、年齢に応じたプログラムを選ぶ、端末を使用しない時間を作る、睡眠・身体活動を促進する、創造力を発揮したり他の人と有意義につながる手段として端末を使うよう子どもに促す、などが含まれる。