今年は、ヘルパンギーナや手足口病が流行しています。これらはエンテロウイルスが起こす疾患で、発熱に加え、口腔内の水疱や手足の発疹が見られます。高熱が続き、口内炎の影響で、経口摂取ができなくなり、脱水になることもあります。
また逆に、抗菌薬を投与された群のほうが、入院期間が長い傾向があり、不要な抗菌薬投与が害になる可能性も示唆しています。
Are antibiotics beneficial to children suffering from enterovirus infection complicated with a high C-reactive protein level?
Int J Infect Dis . 2014 Aug;25:100-3.
背景
東南アジアではエンテロウイルスが毎年季節性に流行する。一部の症例では、CRP(C-reactive protein)値の上昇が認められ、細菌感染が疑われて抗菌薬が処方されることがある。このような抗菌薬処方は不適切である可能性があり、さらなる耐性菌の発生や医療費負担を招く。本研究の目的は,CRP上昇を合併するエンテロウイルス感染症の小児に対して,抗菌薬が有効であるかを明らかにすることである。
方法
2008年1月から2012年12月までにヘルパンギーナまたは手足口病で入院した小児のカルテを後方視的に検討した。登録された症例は、CRP値によってA群(<4mg/dL)、B群(4-8mg/dL)、C群(>8mg/dL)の3群に分類した。さらに、入院中に24時間以上の抗菌薬投与を行ったかで、サブグループに分けたC群の症例対照研究を行った。
結果
合計3,566例が解析の対象となった。214例がC群に属し、うち71.0%が抗菌薬投与を受けた。CRP値が比較的高いほど、抗菌薬が処方される割合が高い傾向が見られた(p=0.001)。症例対照研究で、年齢・性別・平均CRP値・発熱日数に有意差はなかった。しかし、抗菌薬が投与されたサブグループで、入院期間が長い傾向があった(p=0.020)。
結論
本研究では、CRP高値の患者であっても、抗菌薬は有効でない可能性が示唆された。臨床医は、明らかな細菌感染の証拠がない場合、抗菌薬の使用により慎重であるべきである。