小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

ファイザーワクチン 5−11歳でも効果・安全性は同等

 ファイザー社が、自社の新型コロナワクチンを5−11歳も接種対象にするよう承認申請を行いました。(2021年11月10日)
 おそらく近日中に承認されるはずで、その根拠となる論文の紹介です。
 
Evaluation of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Children 5 to 11 Years of Age
N Engl J Med. 2021 Nov. 9 PMID: 34752019
 
背景
 12歳以下の小児において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する安全で効果的なワクチンが早急に必要である。
 
方法
 第1相の用量設定試験および進行中の第2-3相のランダム化比較試験を実施した。生後6カ月から11歳までの小児を対象に、BNT162b2ワクチン(いわゆるファイザーワクチン)を21日あけて2回接種した際の安全性、免疫原性、有効性を検討した。本報告では、5歳から11歳を対象とした結果を紹介する。第2-3相試験では、対象者は、BNT162b2ワクチンを2回接種する群と、プラセボを投与する群に2:1の割合で無作為に割り付けた。BNT162b2の2回目の投与から1カ月後の免疫反応を確認した。2回目接種から7日以上経過した時点からのCOVID-19に対するワクチンの有効性を評価した。
 
結果
 第1相試験では、5−11歳の小児48名にBNT162b2ワクチンを10μg,20μg,30μgのいずれかの用量で接種した(各用量16名)。接種後の反応と免疫原性に基づいて、10μgが適切であると選択された。第2-3相試験では、2,268人の小児に無作為にBNT162b2ワクチン(1517人)とプラセボ(751人)が接種された。追跡調査期間の中央値は2.3カ月であった。5歳から11歳までの年齢層では、他の年齢層と同様に、BNT162b2ワクチンの安全性は良好であった。ワクチンに関連した重篤な有害事象は認められなかった。2 回目の接種から 1 カ月後時点での、5-11 歳と 16-25 歳のSARS-CoV-2中和力価の比は 1.04(95%信頼区間[CI],0.93~1.18)であり、5-11歳でも同等の免疫原性成功基準を満たしていた(両側 95% CI の下限値,>0.67;幾何平均比の点推定値,≧0.8)があることが示された。2回目の接種から7日以上経過して発症したCOVID-19症例数は、ワクチン接種群で3名、プラセボ群で16名であった。(ワクチン有効性,90.7%;95%CI,67.7-98.3)。
 
結論
 5−11歳の小児において、BNT162b2 (10μg)を21日間隔で2回接種の、安全性・免疫原性・有効性が確認された。
 

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 小学生の年齢層に対して、成人と比較して1/3の抗原量で、十分な効果が得られ、安全に摂取できることが分かって良かったと思います。
  現時点では、感染者数も落ち着いていますが、今後、次の波が来ることも十分想定して、スムーズに接種できるようになると良いと思います。
 
 個人的な意見ですが、私は低年齢層の小児を含め、安全性と効果が確認されたワクチンを積極的に接種するべきと考えます。子供は大人から感染するのだから、大人がワクチンをちゃんと接種することで、重症化する確率の低い小児には打つ必要性が低いという意見もあります。
しかし、
・子供→両親・祖父母に感染し、重症化する可能性もあります。
・患者数が増えると、小児でも重症例が一定数でます。
・そもそも社会・大人が子供のために接種してくれるでしょうか?打ちたくない人はいくら勧められても打たないし、医学的な理由で打てない成人も一定数います。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov