小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児の新型コロナ後遺症(long COVID)イランからの報告

 新型コロナウイルス感染後も様々な症状が長く続くケースが報告されています。Long COVIDと言われる病態ですが、高齢・肥満・女性・発症時の症状が5つ以上あるといった人で起きやすことがわかっています。(忽那先生のYahoo!ニュース)
  小児のlong COVIDについては、少ないのではないかとイギリスから報告されているものの、長期にわたる症状がどのようなものか、はっきりしませんでした。
 COVID-19のパンデミック早期に患者数の急増に苦しんだイランからのデータです。58名中26名(44.8%)がlong COVIDの症状を訴えていますが、非常に大きい流行に呑まれていた時期があり、かなり重症者が多い(58名中10名がICUに入院)データですので、解釈に注意が必要です。(ICU入院した10名中8名がlong COVIDの症状を訴えています。)
小児でも、重症例ではlong COVIDになりやすいという成人とも同じデータと解釈することができます。
 
Long COVID in children and adolescents
World J Pediatr. 2021 Sep 3; 1-5.
 
背景
 Long COVID (新型コロナウイルス感染後の長期間にわたる症状)に悩まされる小児の有病率、また症状を明らかにする。さらに、小児のlong COVIDの危険因子を調査した。
 
方法
 2020年2月19日から2020年11月20日までに、イラン・ファールス州の病院に紹介された小児をすべて対象とした。対象患者は、COVID-19を確定診断された患者のみである。退院から3カ月以上経過してから、患者・親へ電話を行い、親が同意した場合、患者の現在の状態を確認した。
 
結果
 計58名が組み入れ基準を満たした。26名(44.8%)の患者がlong COVIDの症状を訴えていた。症状は、疲労感12名(21%)、息切れ7名(12%)、運動耐性の低下7名(12%)、脱力感6名(10%)、歩行困難5名(9%)が含まれていた。年齢が高いこと、入院時の筋肉痛、集中治療室への入室は、long COVIDの発症と有意に関連していた。
 
結論
 Long COVIDは小児に頻繁に見られる。これらの患者が適切な治療を受けられるように、long COVIDの病態生理を調査・研究すべきである。
 
 
Long COVIDの症状 (論文の表から作成)
症状
軽症
中等症
重症
12
0
0
息切れ
5
2
0
運動耐性低下
5
0
2
脱力感
6
0
0
歩行困難
2
1
2
咳嗽
4
0
0
筋肉痛
3
0
0
関節痛
3
0
0
1
1
1
喀痰
3
0
0
頭痛
3
0
0
 
Long COVIDの発症リスク因子 (論文の表から作成)
因子
Odds比
年齢
1.314
入院時の筋肉痛
6.739
ICU入院
21.469