川崎病は、小児に多い血管炎症候群です。発熱、発疹、口唇変化、手掌足底の変化、眼球結膜充血、頸部リンパ節腫脹が特徴的な疾患です。すべてが揃えば、診断は容易ですが、そうでない症例も多いです。
割と年長児で多いのが、「発熱+頸部リンパ節腫脹」で、化膿性リンパ節炎と区別がつかないというパターンです。(lymph-node-first presentationとも言う)
抗菌薬を投与しながら、様子を見るのですが、早く診断したい気持ちになります。韓国から、化膿性リンパ節炎とlymph-node-firstの川崎病を鑑別するために、診断ツリーを検討した報告です。感度89.5%、特異度88.9%と、診断精度はかなり良いのですが、やはり悩む症例は悩みますし、診断的治療を兼ねて大量ガンマグロブリン療法を行わざる得ない症例も、どうしても残ります。
Lymph-node-firstの川崎病らしい症例は
・画像検査で膿瘍がない(多胞性リンパ節炎)
・抗菌薬開始後に、CRPが上昇している
ということになります。
Prediction Model for the Differential Diagnosis of Kawasaki Disease and Acute Cervical Lymphadenitis in Patients Initially Presenting with Fever and Cervical Lymphadenitis
J Pediatr. 2020; 225: 30-36.
目的
リンパ節腫脹を初発症状とした川崎と化膿性頸部リンパ節炎を鑑別するために、臨床検査マーカーと画像所見を使用したアルゴリズムを開発すること。
方法
発熱と頸部リンパ節腫脹を初診時に呈した小児入院患者を対象とした。群間比較または単変量ロジスティック回帰分析により、化膿性頸部リンパ節炎と鑑別を鑑別するための因子を同定した。
結果
対象患者を以下の2つのコホートに分けた:トレーニングコホート(206人)と検証コホート(103人)。トレーニングコホートのデータから作成したモデルには、3つの決定因子が含まれた:①頸部CTまたは超音波検査で膿瘍を認める、②血清CRPの変化率、③好中球数の変化率である。検証コホートに対するモデルの鑑別能力は、優れていた(感度89.5%、特異度88.9%、PPV95.8%、NPV75.0%、全体の診断精度89.3%、Youden指数0.784)。
結論
本研究で作成したモデルは、リンパ節腫脹を初発症状とした川崎と化膿性頸部リンパ節炎を高精度に鑑別することができた。臨床応用には多施設データに基づく外部検証が必要である。