日本で最も患者数の多い病気は何か?
それは、インフルエンザでも、悪性腫瘍でも、高血圧でも、糖尿病でもないです。
正解は「齲歯(虫歯)」です。
小児では最近は虫歯をもつ子が減っているようですが、それでもかなりの数です。
(H28年 厚生労働省資料より)
予防は、甘いものの摂取を控える、歯磨きなどがありますが、フッ素塗布も有効です。ニュージーランドから、水道水に含まれるフッ素が虫歯予防に有効ではないかという報告です。
要点:水道水にフッ素が添加されていない地域の住民は、虫歯の発生率が1.2倍になる
Association Between Community Water Fluoridation and Severe Dental Caries Experience in 4-Year-Old New Zealand Children
Schluter PJ, et al. JAMA Pediatr. 2020; 174: 969.
重要性:水道網で供給される水道水にフッ素が添加されていると、人口ベースでう歯を予防するかについて、疫学的根拠が必要である。
目的:ニュージーランドの4歳児の重症う蝕の全国的な発生率と地域の水道水のフッ素添加が関連しているかどうかを評価する。
方法:本研究は、2010年7月1日から2016年6月30日までの間にニュージーランドで入学前健診プログラムの一環として評価を受けた4歳児を対象とした、ほぼ全人口を網羅した横断的研究である。データベースには391,677人の対象者がいたが、最終的に275 843人(70.4%)が解析対象となった。
曝露:2011年から2016年までの地域の水道水へのフッ素添加。
主要アウトカム:口腔保健スクリーニング「lift the lip」で確認された重症う蝕の症例数。年齢・性別・民族・居住地域で調整して、解析した。
結果:対象となった 275,843 人の年齢中央値は 4.3 歳(四分位間距離 4.1~4.6 歳)、141,451 人(51.3%)が男児、153,670 人(55.7%)がフッ素添加している地域に居住していた。重症う蝕は、フッ素添加地域では24 226人(15.8%)、フッ素添加していない地域では17 135人(14.0%)で確認された。無調整のオッズ比は0.93(95%信頼区間、0.90-0.95)であった。調整後の分析で、フッ素添加していない地域は、重症う蝕のオッズが高かった(オッズ比、1.21;95%CI、1.17-1.24)。
結論:本研究は、地域の水道水のフッ素添加が4歳児の重度う蝕の有病率の減少と関連していることを示した。
本題と関係はないのですが、社会経済学的な環境、人種によっても、虫歯の有病率が違います。