感染性心内膜炎(IE)は、重篤な感染症です。以前は連鎖球菌が最大の起炎菌でしたが、最近は黄色ブドウ球菌の頻度が増加しています。この研究は、クリーブランドの成人のIEのレジストリーから、IEの原因となった連鎖球菌の菌種の疫学を調べたものです。
Viridans属が最も多いのは、予想通りですが、B群溶血性連鎖球菌(GBS)もかなり多いのが意外でした。
Distribution of streptococcal groups causing infective endocarditis: a descriptive study
Diagn Microbiol Infect Dis. 2018;91(3): 269
目的:
感染性心内膜炎(IE)の原因となった連鎖球菌の頻度を検討する。
方法:
2007年7月1日から2014年12月31日までの期間に、クリーブランドクリニックに入院した成人のIE患者を対象とした。原因微生物は、血液培養、手術検体培養、手術検体のPCR検査を組み合わせて、確定した。
結果:
296名が解析の対象となった。76%(224例)がビリダンス属(viridans)、17%(50例)がβ溶血性連鎖球菌 (pyogenic)、6%(17例)がNVS (nutritionally variant streptococci)、2%(5例)が嫌気性であった。63例(21%)がビリダンス属以上の詳細な同定ができなかった。詳細な同定ができた161例のビリダンス属のうち、Streptococcus mitis groupが61%、S. bovisが15%、S. mutans groupが13%、S. anginosus groupが9%、S. salivarius groupが1%であった。50例のβ溶血性連鎖球菌お売り、78%がS. agalactiae(GBS)、16%がS. dysgalactiae(GGS)であった。手術検体からの菌の検出は、PCRの感度が良好であった。
結論:
この研究により、IEの原因となる連鎖球菌の種ごとの頻度が明らかになった。
ビリダンス属は、血液培養より手術検体のPCRの感度が高く、β溶血性(pyogenic)は血培からよく発育することが分かります。
菌種による症状や予後の違いなどもあれば、より興味深いデータになるかと思いました。