「BCGワクチンは結核を予防する」と言われて、なんとなく納得していました。
が、結核の予防を考える点で、研究がどの予防効果を判定しているかを明らかにすることが重要です。
①結核感染を予防(無症状の患者を含む)
②結核発症を予防(発病を予防)
④死亡率を減らす
古い研究では、無症状の結核感染者(潜在性結核感染:LTBI)を検査する良い方法がなく、ツベルクリン反応に頼っていました。最近はIGRAが登場し、LTBIの診断がかなり容易になりました。これまでは、活動性結核の予防は75%程度で、特に重篤な結核性髄膜炎や粟粒結核は80%以上減らせると考えられてきました。しかし、LTBIまで減るのかは、よく分かりませんでした。
今回は、BCGワクチンの結核予防効果①と②についてまとめた小児を対象にしたメタアナリシスです。
要約
・結核感染の予防効果は19%と高くない
・活動性結核はの予防効果は71%とかなり良い
→感染自体はあまり減らないけど、発症しないし(恐らく重症例も死亡例も減るので)、BCGは結核の多い国では接種を継続する必要がありそうです。
Effect of BCG vaccination against Mycobacterium tuberculosis infection in children: systematic review and meta-analysis
BMJ. 2014; 349: g4643.
目的:
デザイン:
システマティックレビューおよびメタアナリシス。1950年から2013年11月までの論文を検索した。
対象患者:
結果:
一次解析には14の研究と3855例の小児が含まれた。全リスク比の推定値は0.81(95%信頼区間:0.71~0.92)であり、BCGワクチン接種による結核感染に対する予防効果は、19%であった。予防効果は、2種類のインターフェロンγ放出測定法(ELISpotまたはQuantiFERON)を用いた場合で同様であった。活動性結核への進展に関する情報が含まれる6件の研究(n=1745)に解析を限定した。結核感染の予防効果は27%(リスク比0.73、0.61~0.87)であったのに対し、活動性結核の予防効果は71%(0.29、0.15~0.58)であった。結核感染者のうち、活動性結核への進展を予防する効果は、58%(0.42、0.23~0.77)であった。
結論: