小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児のサイトメガロウイルス肝炎

 小児科で肝機能異常が見つかり、精査の結果、サイトメガロウイルス(CMV)感染が判明することがあります。免疫不全者や先天感染はよく話題になりますが、免疫正常の小児のCMV肝炎は研究が少ないです。
 トルコの病院で49例のCMV肝炎の臨床像を分析した研究です。予後は良いのですが、肝機能異常が持続すること、一部に先天性CMV感染の症例が有ることが注意するべき点かと思います。
 
Cytomegalovirus hepatitis in 49 pediatric patients with normal immunity
Turk J Med Sci. 2016;46:1629.
 
背景:免疫正常者のサイトメガロウイルス (CMV) 肝炎は、通常は無症状で、重篤な合併症を来すことは稀である。
 
方法:この研究は2005年から2010年にトルコの小児医療機関で実施された後方視的研究である。対象は、免疫正常な小児のCMV肝炎の症例49例である。
 
結果:患者の平均月齢は、5.81±6.49ヶ月で、女児が57.1%であった。主な症状は、遷延する横断、嘔吐、下痢、腹部膨満であった。17例(34.6%)が、先天性CMV感染またはその疑いであった。32例(65.3%)が周産期のCMV感染であった。肝炎以外の臓器に症状があった症例は22例(44.9%)であった。肝炎のみは27例(55.1%)であった。AST、ALTがすべての患者で上昇していた。胆汁うっ滞型肝炎は、13例(26.5%)で認めた。4例でガンシクロビルが使用された。完全に回復したのは48例(97.9%)であった。肝機能が回復するまでの日数は、7−180日間であった(平均53.9±40.8日)。
 
結論:CMV肝炎は、免疫正常の小児にとって通常は軽症で後遺症を残すことはない。
 

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【患者の年齢】
 7生日〜32ヶ月(5.81±6.49ヶ月)
 
【主な症状】
・黄疸 28.6%
・下痢 22.4%
・嘔吐 10.2%
・腹部膨満 28.6%
 
【身体所見】
・肝脾腫 42.8%
・黄疸 30.6%
・脾腫 20.4%
・体重増加不良 6.1%
・小頭症 4.1%
・網膜炎 2.0%
 
【検査所見】
AST 64〜2950 IU/L (平均300±476)
ALT  69〜2085 IU/L (平均257±350)
Bil 3.26±5.24mg/dL