小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

麻疹の曝露後予防 CDCの推奨

 麻疹に対する抗体が証明できない人が、麻疹に曝露した場合には、曝露後予防(post-exposure prophylaxis; PEP)が提供されるか、学校・病院・保育園などの場から隔離をされるべきである。PEPは、感染防御の可能性があり、重症化を防ぐ可能性がある。麻疹に感受性のある人には、72時間以内にMMRワクチン(注:日本では麻疹ワクチンかMRワクチン)または、6日以内に免疫グロブリン(IG)を投与する。ワクチンとIGを同時に投与すると、ワクチンの効果が無くなるため、同時に投与しない
 
MMRワクチン
 MRワクチン72時間以内に投与する。麻疹アウトブレイク中であれば、生後6ヶ月からMMRワクチンは接種可能である。しかし、1歳未満でMMRワクチンを接種した場合には、12−15ヶ月で1回、4−6歳で1回の接種を行う必要がある。
 医療機関以外では、ワクチン未接種の人が、麻疹曝露後にPEPとして、初回のMMRワクチンを接種した時には、保育所・学校・職場に戻って良いかもしれない。
 
 Redbookでは、MMRワクチン未接種や or 1回のみの既接種者が、麻疹に曝露した場合には、接種可能な全ての人にMMRワクチンを接種するように推奨している。2回目の麻疹ワクチンは初回投与後から28日以降で接種可能になる。
 
 麻疹が重症化・合併症を生じやすい患者(例えば12ヶ月未満の乳児や妊婦)の内、麻疹に対する免疫がない人、重度の免疫不全者では、IG投与を受けるべきである。12ヶ月未満の乳児においては、麻疹曝露後に、全員がIG投与(筋注)を受けるべきである(注:日本では静注が普通)。しかし、72時間以内にMMRワクチンを接種できる場合には、IGに代わることができる。麻疹に対する免疫が証明できない妊婦は、IG静注投与が推奨される。重症の免疫不全状態の場合には、抗体価やワクチン接種歴に関わらず、IG静注を行うべきである。
 IGはアウトブレイクコントロールには使用するべきではなく、効果は個人の感染リスクの抑制と合併症リスクの抑制である。IG静注後には、医療機関に戻ってはいけない。それ以外の保育所・学校・職場への復帰が可能か考慮するにあたり、曝露者の免疫状態、曝露の程度、同じ場所にいる人のリスクなどを考慮する必要がある。
 IGの推奨投与量は400mg/kgである。
 
まとめ
免疫正常者
・麻疹ワクチン0回接種済み→ワクチン(生後6ヶ月以上で接種可能であるが、12ヶ月未満の接種は有効とカウントしない)
・麻疹ワクチン1回接種済み→ワクチン(前回から28日以上経過していたら接種可能)
・麻疹ワクチン2回接種済み→免疫ありとして対応
 
免疫不全者
・0−11ヶ月の乳児→静注IG(麻疹ワクチン接種できる場合には代用可能)
・妊婦→静注IG
・重症の免疫不全→静注IG(抗体価やワクチン接種歴に関わらず投与)
 
参考文献
Redbook 2018-2021