小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

繰り返す頸部感染・甲状腺感染(特に左側)を見たら、梨状窩瘻を考える

小児科医として知っておきたい点は、「繰り返す頸部感染・甲状腺感染(特に左側)を見たら、梨状窩瘻を考える」ことです。
 
Diagnosis and Management of Pyriform Sinus Fistula: Experience in 48 Cases
J Pediatric Surgery. 2014;49(3):455-9.
 
目的:梨状窩瘻の検索を行うために、術中に開口部からの色素注入が有効かを検討した。
方法:1990−2013年に経験した48症例を対象に、年齢・性別・病変の部位・初期症状・診断方法・培養検査・病理所見・治療経過などを後方視的に検討した。
結果:男性が22名、女性が26名であった。発症と診断の中央値は、2歳(範囲:8ヶ月−9歳)と4歳(12ヶ月−13歳)であった。左側に病変がある患者がほとんど(93.7%)であった。最も多い臨床所見は、頸部膿瘍(62.5%)であったが、他には、化膿性甲状腺炎、頸部腫瘤、甲状腺腫瘤などであった。バリウムによる食道造影で100%の症例で瘻孔を証明できた。陽性適中率は、経口造影剤によるCTで88.9%、経静脈的造影CTで53.8%、単純CTで33.3%、超音波検査で7.9%であった。殆どの症例で甲状腺機能は正常であった。細菌培養で検出される菌は、口腔内常在菌であった。甲状腺部分切除が11例に実施された。術中に内視鏡を利用した症例では、再発がなあ飼った。
結論:繰り返す頸部感染や甲状腺感染をきたす小児では、梨状窩瘻の存在を考慮するべきである。バリウムによる食道造影とCTや超音波の組み合わせが診断に有効である。術中に内視鏡を利用して瘻孔の走行を確認することで、正確に瘻孔の位置を同定し、適切な切除が可能になる。
 
 

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