小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

早期VAPの原因菌は感受性が良好なことが多い

人工呼吸器関連肺炎(VAP)の原因菌は、緑膿菌MRSAなど耐性菌が多いイメージですが、人工呼吸器管理開始後早期(7日以内)であれば、あまり耐性菌がいないという報告です。抗菌薬の適正使用につながるので、Gram染色をして、緑膿菌を外せるか、確認することが重要ですね。
 
Risk factors and pathogens involved in early ventilator-acquired pneumonia in patients with severe subarachnoid hemorrhage
Eur J Clin Microbien Dis. 2014;33:823
 
 クモ膜下出血後の患者における人工呼吸器関連肺炎(VAP)のリスク因子と原因微生物を検討した。
人工呼吸器管理7日以内に発症したVAP患者193名を対象とした。
患者の年齢の中央値は53歳、70人(36%)が男性であった。GCSの中央値は9であった。
多変量解析の結果、男性(OR 2.26, 95%CI 1.14-4.46)、マンニトールの使用(OR 3.03, 95%CI 1.54-5.95)、7日目までに腸管栄養で>20kcal/kg/dに到達(OR 2.91, 95%CI 1.27-6.67)がVAP発症のリスク因子となった。
主な起炎菌は、MSSA(34.9%)、H. influenzae(28.1%)、S. neumoniae(15.5%)、腸内細菌科細菌(10.7%)であった。
VAPの発症により、人工呼吸器使用期間が延長し、ICU滞在時間も長くなったが、死亡率の上昇には寄与しなかった。
早期VAPの原因菌は感受性が良いものが多い。

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