小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

鼓膜チューブ留置の患者の耳漏には抗菌薬+ステロイド点耳薬が有効

A Trial of Treatment for Acute Otorrhea in Children with Tympanostomy Tubes
van Dongen TM, et al. N Engl J Med. 2014
 
背景:鼓膜チューブを留置した小児の急性の耳漏のマネージメントに関するガイドラインは、エビデンスが少ない。経口抗菌薬と点耳抗菌薬を比較した臨床試験も限られている。
 
方法:本研究では、鼓膜チューブを留置して急性の耳漏を認める1−10歳の230名の小児をランダムに3群に割り付けた。3群とは、ヒドロコルチゾン・バシトラシン・コリスチンを含有する点耳液、アモキシシリン・クラブラン酸の内服薬(AMPCとして30mg/kg/day)、無投薬経過観察である。一次アウトカムは、開始2週間で耳漏が持続している割合である。2次アウトカムは、耳漏の持続期間、6ヶ月以内の再発、QOL、治療に関する副作用である。
 
結果:抗菌薬・ステロイド点耳液は、経口抗菌薬・無治療経過観察と比較し、全てのアウトカムで優れていた。2週間の時点で耳漏が残っていた割合は、抗菌薬・ステロイド点耳液は5%、経口抗菌薬は44%、無治療経過観察は55%であった。耳漏の持続期間の中央値は、それぞれ、4日間、5日間、12日間であった。治療に関する副作用は軽微であった。
 
結論:鼓膜チューブを留置し急性の耳漏を呈する小児に対して、抗菌薬・ステロイド点耳液は、経口抗菌薬や無治療経過観察と比較して、有効性が高かった。
 

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 経口抗菌薬の投与量が、通常の中耳炎で使用する量の1/3の量ですので、高用量を使用したら、効果はより高いかもしれません。しかし、鼓膜チューブがあれば、局所に直接抗菌薬を投与できるので、当然、副作用も少ないし、有効なんですね。日本では、合剤は無さそうですので、リンデロンとタリビット(オフロキサシン)などを併用するのでしょうか。