小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

多発嚢胞を認める耳下腺腫脹はHIV感染症を考える

HIV-associated benign lymphoepithelial cysts of the parotid glands confirmed by HIV-1 p24 antigen immunostaining.

Sekikawa Y, et al. BMJ Case Rep. 2017;2017 Epub 2017 Sep 28.

 
Benign lymphoepithelial cystsについて
HIV患者の1−10%で唾液腺の腫脹を認める。耳下腺腫脹が最も多い。原因は、炎症性、感染性、悪性腫瘍などが考えられるが、多くの場合、benign lymphoepithelial cysts (BLEC)という病態である。
・BLECは通常は緩徐に発症し、疼痛はなく、両側の耳下腺腫脹がみられる。口腔乾燥は伴わない。
・超音波検査では、耳下腺の嚢胞状の拡大を認め、HIV感染を疑う手がかりになる。
・BLECの治療において、ARTが中心的な役割を担う。ARTを開始すると、嚢胞の大きさは縮小する。もし、ART開始後に嚢胞の大きさが変わらないのであれば、穿刺生検と行い、悪性腫瘍などの合併が無いかを検索する。
 
非常に画像が参考になるケースレポートを、武蔵野日赤の関川先生が書かれていたので、一部を引用させていただきました。
 

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