小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児の新型コロナウイルス感染症171例の臨床像(NEJM)

SARS-CoV-2 Infection in Children
X Lu, et al. N Engl J Med. 2020 March 18
 
中国で発症したCOVID-19感染症患者72,314名のレビューが中国CDCのから発表された。10歳未満の小児例は全体の1%未満と少なかった。小児のCOVID-19感染症の臨床像を明らかにするために、武漢小児病院で治療を行った16歳未満の小児例(PCRでの確定症例)を対象に検討した。
 171名(PCR実施の12.3%が陽性)がCOVID-19と診断された。年齢の中央値は6.7歳であった。全経過中に発熱は41.5%の割合で認められた。(半分は発熱も無いことになる。)咳嗽や咽頭発赤がよく見られる所見であった。27例(15.8%)は全く感染症状がなく放射線画像上の異常も認めなかった。12例は、肺炎像を認めるものの、無症状であった。3名が入院中にICU入室・侵襲的呼吸器管理を受けた。3例ともに基礎疾患があった(水腎症白血病、腸重積)。リンパ球減少は6例(3.5%)に認められた。放射線画像では、両側性すりガラス亭が最もよくみられる所見であった(32.7%)。死亡例は1例(生後10ヶ月の腸重積合併例)であった。
 成人と比較して、症状は軽く、無症状で経過する例も珍しくない。
 
ポイント
・16%が無症状。
・90%以上の症例で家族が発症している(家庭内伝播の可能性が高そう)
・発熱や咳嗽などの、典型的な気道感染症の症状は半分程度の症例でしか認めない。
・SpO2<92%となる低酸素欠性は4例(2.3%)にしか認めない
・消化器症状は10%程度で認める
 

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典型的なCT画像

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