小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児気管支喘息ではウイルス陽性例で外来治療不成功が多い

Factors associated with failure of emergency department management in children with acute moderate or severe asthma: a prospective, multicentre, cohort study
Lancet Respirator Med. 2016;4:990.
 
小児の喘息発作の治療が救急外来で不成功になる因子を検討した研究
背景:
 近年の報告で、6歳未満でウイルス感染を伴う喘息、受動喫煙を受けている小児の喘息は、外来治療が不成功になる可能性が高いことが報告されている。本研究では、救急外来を受診した小児の喘息発作(中等症〜重症)症例を対象に、治療不成功になる因子を検討した。
 
方法:
5箇所の救急外来で、喘息発作(PRAM 4-12点)のために受診した1−17歳の小児を対象に、前方視的に研究を行った。対象者は、経口ステロイドを内服し、重症度に応じた気管支拡張療法を行った。主要アウトカムは、救急外来での治療不成功率(入院、8時間以上治療を要した、72時間以内に再燃して再受診)とした。PCRで鼻咽頭のウイルスを検索し、受動喫煙の有無を調べた(唾液内のcotinine濃度)。
 
結果:
2011年2月から2013年12月の機関に、1893名の小児をスクリーニングし、1012名を登録した。そのうち、973名が解析された。165名(17%)が治療不成功であった。不成功の割合が高かったのは、ウイルス陽性例(19% vs. 13%, OR 1.57; 95%CI 1.04-2.37)、発熱(24% vs. 15%, OR 1.96; 95%CI 1.32-2.92)、ベースラインのPRAM(1点あたりOR 1.38; 95%CI 1.22-1.56)、SpO2<92%(50% vs. 12%, OR 3.94; 95%CI 1.97-7.89)、増悪エピソードの間に症状があった(21% vs. 16%, OR 1.73; 95%CI 1.13-2.64)。年齢、受動喫煙、経口ステロイドの用量は、治療不成功と関連が無かった。ウイルス陽性と発熱は6歳未満でより高頻度に認められた。ウイルス陽性例は、10日後の回復が遅かった。
 
結論:
中等症〜重症の喘息発作の小児において、ウイルス陽性は治療不成功と関連する。
 

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