小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

電子カルテから血液培養2セットを推奨すると、2セット採取率が増加する

Two Blood Cultures With Age-Appropriate Volume Enhance Suspected Sepsis Decision-Making
Open Forum Infect Dis. 2020;7(2):ofaa028.
 
背景:成人においては、血液培養を複数セット採取することが、菌血症の患者の、原因菌検出率を上げ、適切な抗菌薬使用につながることが示されている。小児では、複数セット血液培養が採取されることが少なく、推奨される採取血液量も複雑であるため、通常は少ない量になることが多い。
方法:2010年に、コロラド小児病院で、電子カルテを通じて、菌血症が疑われる症例に対して、抗菌薬を使用する前に、血液培養2本を採取するように推奨するようにした。推奨する血液採取量は、体重ではなく、年齢を基準にした。基準を導入る前の2008−2009年と、導入後の2011−2013年の入院症例のうち、救急外来で血液培養が採取され、抗菌薬投与を受けた小児を対象とした。血液培養の採取回数、検出された菌、介入ぜいごで抗菌薬の処方が変化したかを検討した。
結果:3948例の症例が対象となった。電子カルテを利用したガイドライン・推奨により、複数本の血液培養採取の割合が増加した(88.0% vs. 12.3%; p<0.001)。推奨される血液量が採取される割合が増加した(74.3% cs. 15.2%; p<0.001)。結果として、病原菌が検出される割合が増加し、抗菌薬処方が改善した。複数本の採取が行われることにより、臨床現場では、血液培養から検出された菌が汚染菌かを判定するのに有用であった。
結論:抗菌薬開始前に、複数本の血液培養を、推奨される血液量を採取することにより、原因菌の検出率が増加し、抗菌薬使用の適正化に寄与した。
 
実際に行われた介入
電子カルテで血液培養をオーダーしたとときに、抗菌薬開始前に2本の血液培養を採取するように、推奨が出るようにした。
 推奨される対象患者は、新生児、免疫抑制状態の患者、重症患者、中心静脈カテーテルが入っている患者である。
 この病院では、ルーチンで嫌気培養は推奨していない。ERで担当医師が、何本血液培養を採取するか決定している。もし、1本しか血液培養がオーダーされないと、電子カルテ上で「最低でも2本血液培養を抗菌薬開始前に採取するように」と推奨が出る。
・看護師側の、血液培養採取プロトコールを見直した。
 最低でも1mlの血液を採取すること。推奨される血液量は、(年齢)+1mlとした。最大量は10mlとした。ERでは、年齢は分かっていても、体重まではわからないことがあるので、単純化することで、必要血液量を迷わないようにした。
 
 
2本以上の血液培養が採取された割合は、88%と驚異的に上昇。
更に重要なのは、下の表の通りで、
真の起炎菌が検出される割合が、1.8%→3.0%になり、おそらく原因菌と思われる菌の検出は、1.9→4.3%に上昇している。つまり、十分量の血液を複数セットを採取することにより、今まで、見逃していた菌血症が見えるようになった。