小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児心臓血管外科手術における周術期抗菌薬は十分か?

Pharmacokinetics of Cefazolin and Vancomycin in Infants Undergoing Open-Heart Surgery With Cardiopulmonary Bypass 
Anesth Analg. 2019 May;128(5):935-943.
 
小児心臓外科手術において、周術期抗菌薬はセファゾリンが一般的に用いられ、一定の状況下ではバンコマイシンが使用される。
しかし、人工心肺を使用した手術で、(途中で追加投与するにせよ)抗菌薬が術後まで十分な血中濃度を維持できているのかは、なかなか自信がありませんでした。
そもそも、セファゾリンの濃度は一般病院では測定できないので、知る由もない。
 
この研究では、セファゾリンを使用した10例と、バンコマイシンを使用した10例の、術中と術後の血中濃度を測定し、それがブドウ球菌のMICを超えているかを検討しています。(薬理学的に難しいことは分かりません。)
 
バンコマイシンは12時間毎に15mg/kg/doseを1時間かけて投与、セファゾリンは4時間毎に30mg/kg/doseを10分間かけて投与します。シュミレーションの結果、トラフ値はバンコマイシンで4μg/mL, セファゾリンで16μg/mLを超えており、ブドウ球菌のMIC90を満たしました。
人工心肺の影響はpharmacokineticsの観点からは無視できる程度であると言えます。
 
 
赤の点線が、今回のセファゾリンの投与方法(30mg/kg/dose q4hr)になる