小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

CVカテーテル感染症では、ガイドライン通りにカテーテル抜去が望ましい

Central Venous Catheter Management in High-risk Children With Bloodstream Infections 
Pediatr Infect Dis J. 2020 Jan;39(1):17-22
 
長期間CVカテーテル留置している小児患者のカテーテル関連血流感染症(CLABSI)は、治療に難渋します。
ガイドラインでは、黄色ブドウ球菌緑膿菌カンジダが原因菌の場合には、速やかな抜去が推奨されますが、ガイドラインを遵守している割合や、カテーテルを温存した場合の治療成績についてはデータが少なかった。
 
本研究では、長期間CVカテーテルを留置している小児患者の内、研究期間中に、黄色ブドウ球菌緑膿菌カンジダ、腸球菌のCLABSIを発症した患者を後方視的に検討した。IDSAのガイドライン遵守率、カテーテルを温存した場合と抜去した場合の治療失敗率などを検討した。治療失敗は、CLABSI発症から30日以内の死亡、再燃(最後の血培陽性から8−14日以内のCLABSI)、再発(最後の血培陽性から15-59日以内のCLABSI)のいずれかに当てはまる症例とした。
 
53名の患者に108回のCLABSIのエピソードが発生した。患者の年齢の中央値は7.1歳であった。基礎疾患は、血液悪性腫瘍(46%)と小腸不全(短腸症候群など)(39%)がメインであった。108例の原因菌は、黄色ブドウ球菌が29%、腸球菌が27%、カンジダが23%、緑膿菌が21%であった。CVカテーテルは、36例(33%)でガイドラインの推奨どおりに抜去された。抜去したのは、カンジダ16例、黄色ブドウ球菌10例、緑膿菌5例、腸球菌5例であった。カンジダでは、カテーテル抜去が選択された割合が多かった。正しい抗菌薬が十分な治療期間投与された症例は、54例(50%)であった。特に黄色ブドウ球菌で、正しい治療期間が守られなかった。カテーテルが温存された72例の内、10例(14%)は抗菌薬ロック療法が併用された。CVカテーテルを7日以内に抜去した症例と比較して、カテーテルを温存した症例では、治療失敗が有意に多かった(31% vs. 6%, p=0.003)。治療失敗に関連する要因として、CVカテーテル温存(OR 30.9)、持続菌血症(OR 1.46)が挙げられた。
 
 感染症医へのコンサルトは、46例(43%)の症例で実施され、31例(67%)の症例で感染症医はCVカテーテル抜去をすいしょ空いた。
 
IDSAガイドラインが抜去を推奨しているにも関わらず、ガイドラインの遵守率は低い。多くの症例でCLABSIの際に、カテーテルが温存されていた。
 
 
 
 
 

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