小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

オランダのMRSA保菌率は0.13%!!!

Prevalence of nasal carriage of methicillin-resistant Staphylococcus aureus in patients at hospital admission in The Netherlands, 2010e2017: an observational study 
Clin Microbiol Infect. 2019 Nov;25(11):1428.e1-1428.e5.
 
 オランダは、耐性菌(特にMRSA)が少ない国として知られています。
日本において、黄色ブドウ球菌のうちMRSAが占める割合は40%程度とされています。
2010−2017年の、オランダのMRSAの保菌率を調べたデータです。
30,718検体を調査して、7,981検体から黄色ブドウ球菌(MSSA+MRSA)が検出されました。
黄色ブドウ球菌の保菌率は26.0%でした。
MRSAは、41検体のみで、MRSA保菌率は0.13% (95% CI 0.003-0.17%)でした。
一言で、羨ましすぎる結果です。
 
MRSAが低い要因として、2点挙げられています。
・厳格な抗菌薬適正使用
・Search and Destroy policy (入院時に積極的にハイリスク群をスクリーニングして、最初から隔離して、保菌者の治療を行う)
後者に関しては、保菌率が低いからできるという面もありますが、適切なスクリーニングを行って、院内伝播を予め予防する戦略は重要です。