小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

1歳までに抗菌薬に曝露されると、アレルギー疾患発症の頻度が上昇する

Association Between Use of Multiple Classes of Antibiotic in Infancy and Allergic Disease in Childhood. 
JAMA Pediatr. 2019 Dec 20. doi: 10.1001/jamapediatrics.2019.4794. 
PMID:31860016
 
 新年1本目は、JAMA PeditricsのResearch letterからの紹介です。
生後6ヶ月までに複数種類の抗菌薬曝露を受けると小児アレルギー疾患の罹患が増えるというスタディです。
 
 国防省医療保険に入っている小児798,426名のコホート調査です。生後35日から1歳になるまでの間に処方された抗菌薬と、その後アレルギー疾患を発症したかを調べました。
162,605名に抗菌薬が処方されました。ペニシリン 96,79名(59.5%)、マクロライド 21,347名(13.1%)、セファロスポリン 21,284名 (13.1%)、βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン 15,811名(9.7%)、スルホンアミド 6,212名(3.8%)でした。
 抗菌薬投与無しは83.3%、1種類は13.7%、2種類は2.5%、3種類は0.44%、4種類以上は0.06%でした。中央値4.6年間のフォローアップをしています。
 アレルギー疾患発症の調整ハザード比(aHR)は全て1を超えました。抗菌薬の処方が1種類増えるたびに、Table 2のアレルギー疾患発症の頻度が増えていました。
 結論としては、多種類の抗菌薬に曝露すると、アレルギー疾患が増える。
 

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