小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

エボラウイルス感染症の死亡率を低下させるモノクローナル抗体製剤の報告

A Randomized, Controlled Trial of Ebola Virus Disease Therapeutics
N Engl J Med. 2019;381:2293
 
エボラウイルス感染症に対する治療のRCTです。
この研究は2018年8月のコンゴ民主共和国でのアウトブレイクの際に実施されました。
4種類の研究的な治療を行っています。エボラウイルスRNAが陽性となった患者を対象としました。
4つの治療法に1:1:1:1の割合でランダムに患者を割り付けました。
治療1:ZMapp (コントロール群)は3種類のモノクローナル抗体
治療2:remdesivir 抗ウイルス薬
治療3:MAb114 1種類のモノクローナル抗体
治療4:REGN-EB3 3種類のモノクローナル抗体
治療効果を判定するエンドポイントは28日死亡としました。
 
結果:
681名が対象となりました。2019年8月の時点で、MAb114かREGN-EB3群の治療成績が明らかに良いため、これ以降の患者はMAb114かREGN-EB3群にのみ割り付けるように推奨が出ました。28日死亡の割合は、MAb114で35.1%、ZMappで49.7%、REGN-EB3で33.5%となりました。発症から入院までの日数が短い、初期ウイルス量が少ない、血清クレアチニンとアミノトランスフェラーゼの値が低いことが、生存率の改善に関連していた。
 
結論:MAb114とREGN-EB3はZMappと比較してエボラウイルス感染症の死亡率を低下させる。

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