小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

米国のクリニックで処方される抗菌薬の76%が不適切使用

Prevalence of Inappropriate Antibiotic Prescribing in Primary Care Clinics within a Veterans Affairs Health Care System

Antimicrob Agents Chemother. 2018 Jul 27;62(8). pii: e00337-18. doi: 10.1128/AAC.00337-18.
 
​米国退役軍人のヘルスケアシステムのデータを用いて、外来で処方される抗菌薬が適切かを検討した。12ヶ月の検討期間のうち、40,734名の患者が受診し、3,880例に抗菌薬が76名のプライマリケア医により処方された。84回/1000患者/年の割合であった。抗菌薬の内訳は、アジスロマイシン25.8%、アモキシシリン・クラブラン酸13.3%、ドキシサイクリン12.4%、アモキシシリン11%、フルオロキノロン11%、ST合剤10.6%であった。そのうち、300例のカルテを詳細に検討した。抗菌薬の適応は、呼吸器感染症28.3%、尿路感染症23%、皮膚軟部組織感染症15.7%、COPD急性増悪6.3%であった。5.7%は抗菌薬を処方した理由が記載されていなかった。
 このうち、49.7%の症例は、抗菌薬の適応が無かった。12.3%は、抗菌薬の適応はあったが、ガイドラインに準拠しない抗菌薬が処方されていた。14%は、ガイドラインに準拠した処方が行われていたが、治療期間が不適切であった。したがって、76%の症例で抗菌薬が不適切に使用されていた。特に不適切使用の割合が高い抗菌薬は、シプロフロキサシンとアジスロマイシンであった。
 

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