小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

マイコプラズマ感染症では、ミノサイクリンは最強?トスフロキサシンは微妙…

今日もマイコプラズマ関連です。

【要点】

マクロライドに感受性のあるマイコプラズマ感染では、どの抗菌薬も有効

マクロライド耐性マイコプラズマ感染では、ミノサイクリンが有効だが、トスフロキサシンは微妙(マクロライドと差がない)

 
Therapeutic efficacy of azithromycin, clarithromycin, minocycline and tosufloxacin against macrolide-resistant and macrolidesensitive Mycoplasma pneumoniae pneumonia in pediatric patients
Pros One. 2017;12:e0173635.
 
 マクロライド耐性マイコプラズマと感性マイコプラズマに対して、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ミノサイクリン、トスフロキサシンを使用したときの、治療反応を比較した日本からの報告です。
前方視的に行った多施設の観察研究です。マクロライド耐性は59症例、マクロライド感性は50症例でした。
抗菌薬投与後の発熱日数は、マクロライド耐性群で5.2日、マクロライド感性群で1.9日(p<.0001)と有意に感性群で短かった。マクロライド耐性群のうち、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ミノサイクリン、トスフロキサシンを使用したときの、発熱持続日数は、4.6日、5.5日、1.0日、7.5日であった。マクロライド感性群では、それぞれの抗菌薬で、2.5日、1.7日。0.9日、4.3日であった。
マクロライド耐性株では、ミノサイクリンとトスフロキサシンのMICは 1.0-0.25μg/mLと低かった。マクロライド耐性群に対して、マクロライドを使用した場合と比較し、ミノサイクリンは発熱日数を短縮するが、トスフロキサシンでは発熱日数は短縮しなかった。
 
 ミノサイクリンとトスフロキサシンを使用した症例が少ないですが、ミノサイクリンへの反応はマクロライド耐性に関わらず良いですが、トスフロキサシンについては、マクロライド耐性でも感性であっても、マクロライドと大差なさそうです。
 
この研究からはいろんなことが言えると思うのですが、
まとめると
マクロライド耐性株に、マクロライドを使うと、やはり解熱は遅い(Fig2のBとC)
・ミノサイクリンは、症例数は少ないが、マクロライド耐性でも感性でも著効(している印象)(Fig1のBとC、Fig2のD)
・トスフロキサシンは、マクロライド感受性に関わらず、効果はマクロライドと変わらない(Fig1のBとC)
 

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