小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

生後6ヶ月以降にRSウイルス感染症で入院すると、その後の気管支喘息のリスクが高くなる

Association of Age at First Severe Respiratory Syncytial Virus Disease With Subsequent Risk of Severe Asthma: A Population-Based Cohort Study
 
Homaira N, et al. JID 2019:220;550.
 
RSウイルスに乳児期に罹患すると、その後、反復性喘鳴を発症する可能性が高いことが知られています。
この研究は、オーストラリアのNew South Wales (NSW)で実施されたものです。生後2歳までにRSウイルス感染症で入院した児を対象にしました。入院した時期(重症RSV感染症が起きた時期)により、3ヶ月未満、3−6ヶ月、6−12ヶ月、12−24ヶ月の4つのグループに患者を分類しました。
 これらの4つのグループの患者が、その後、気管支喘息で入院するかをフォローしたところ、1000人年あたり、3ヶ月未満→0.5、3−6ヶ月→0.9、6−12ヶ月→2.0、12−24ヶ月→1.7となりました。6ヶ月以降に重症RSVに罹患すると、その後に、気管支喘息を発症する可能性が2−7倍に高まることが示されました。
 6ヶ月未満のRSウイルス感染症重篤化しやすいが、その後の喘息リスクはむしろ低いことが分かりました。
 
 筆者は、原因として以下の理由を考えています。
1)生後6ヶ月未満は、母体からの移行抗体があるなどで、気道へのダメージが軽減されている可能性。肺胞の完成は生後2−3歳で完了するが、6ヶ月以降が肺胞の成熟過程により重要で、この時期の感染が将来にわたるダメージを残す。
2)そもそも6ヶ月以降にRSウイルス感染症で入院する児は、将来喘息を起こす異常をもっている。