日本感染症学会が、日本化学療法学会などの賛同学会の意見をもとに、作った提言だそうです。
厚生労働省が作成した「抗微生物薬適正使用の手引き」では、基礎疾患が背景にある患者には使えないということで、日常診療で遭遇する頻度の高い難治例などに対する正しい抗菌薬の使い方を書いたそうです。
主に、小児分野の解説を読みましたが、おおよそ考え方は同意できます。しかし、一部論理展開が理解できないところがあり、正直何を言いたいのかよく分からない点があります。
急性咽頭炎(抜粋)
ふむふむ、その通り、
・GAS陰性は抗菌薬なし
・GAS陽性は、基本はアモキシシリンの10日間
・アレルギーがあれば、セファレキシンかクリンダマイシン
・重症例では、危険な病態への増悪・進展のリスクが高く初期治療の成否が重要となる場合において、非ペニシリン系抗菌薬の使用を妨げるのは、患者利益にならない。(引用文献なし)
重症例では、入院・点滴治療が望ましく、耳鼻科的な合併症の精査を行うべきです。ペニシリン系抗菌薬が患者利益にならないという根拠はどこにあるの??という感じです。(他の抗菌薬を使用すれば重症化が防げるという根拠は全く示されていません。)
治療の推奨
意図的かどうかはわかりませんが、ページを変えて、間に図を挟んで、うーんと離れたところに…つづき
そこまでして、経口3世代セフェムを使いたいのでしょうか?確かに記載はありますが、cefpodoximeとcefdinirはFDAの認可を受けましたが、その他のピボキシル基含有抗菌薬は、小児科学会から注意喚起も出ましたし、推奨されません。そもそも、自分でアレルギーがある場合には、セファレキシンかクリンダマイシンと言っているのに、「セファレキシンが使用できない場合には、他のセフェム系の使用を検討する」としています。
昨今の抗菌薬の供給不足までご配慮いただいたのでしょうか?
結語:論文・ガイドラインはCOI(利益相反自己申告)を読んだ上で、解釈することが重要である。
http://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=34