小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

入院した新生児は1日あたり21.4%の確率でESBLs産生菌を保菌する(ケニア)

Carriage and Acquisition of Extended-spectrum β-Lactamase-producing Enterobacterales Among Neonates Admitted to Hospital in Kilifi, Kenya.

Kagia N, et al. Clin Infect Dis. 2019 Aug 16;69(5):751-759. doi: 10.1093/cid/ciy976.

 

ケニアの病院の小児科で実施された研究です。
入院時、入院後2日、4日、6日、以降は1週間に2回の便培養を提出し、ESBLs産生腸内細菌科細菌を腸管内に保菌するか検討しました。
対象は生後28日未満の新生児です。
入院時点で、10%(59/569人)の新生児がESBLs産生菌を保菌していました。保菌のなかった510名の培養をフォローすると、21.4% (95% CI 19.0-24.0)/100 child-daysの割合でESBLs産生菌の保菌が増えてゆきました。保菌までの中央値は3日 (IQR, 1-5)でした。
入院時の保菌に関連する因子は、帝王切開で出生、日齢が上、家族の人数が少ないことでした。
入院中に保菌するリスクは、病棟内にいるESBLs産生菌の保菌者の人数と新生児の数でした。
それにしても、ESBLs産生菌の院内伝播が多すぎです。これは、ケニアのような感染対策が不十分な環境だから起きているのでしょうが、日本でも感染対策を怠ると、このようなレベルでESBLs産生菌の伝播が起きる可能性があることを知っておく必要があります。
 

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