小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

iPhoneに接続できる耳鏡は、通常の耳鏡と同じくらい小児中耳炎を診断できる

Diagnosing acute otitis media using a smartphone otoscope; a randomized controlled trial

Am J Emerg Med. 2018 Oct;36(10):1796-1801. doi: 10.1016/j.ajem.2018.01.093. Epub 2018 Jan 31.
Mousseau S, et al.
 
 iPhoneに接続できる耳鏡(Cellscope Oto, $299)を用いて、小児(1−5歳)の中耳炎が正確に診断できるかを検討した研究です。
カナダのモントリオールの小児の三次救急病院で卒後1−5年目の医師(レジデント)が、検者になりました。
まずは小児耳鼻科医が患者の鼓膜を観察し、必要なら、耳垢を除去します(ここが結構ポイント)。
1患者につき、Cellscope Otoでレジデント1名が診察し、通常の耳鏡でレジデント1名が診察します。
鼓膜所見について、耳鼻科医の所見と一致するかを検討しました。
 90名のレジデントが100名の患者を診察し、94名の患者が解析を行われました。
通常の耳鏡を用いた場合には、正確に診断できる確率は69% (95% CI: 52-75%)、Cellscope Otoでは74% (95% CI: 68-80%)でした。統計学的な有意差はありませんでした。患者家族は、診察後の質問で、Cellcscope Otoが通常の耳鏡での診察より良かったと回答しました。
 
 日本では同じものは販売していないようですが、スマホで耳の中が観察できる装置は販売しており、一度自分でやってみようかと思います。
 
 

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