小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

簡便な3 step法による手指衛生は、手指衛生の遵守率を向上させる

Simplified the World Health Organization Protocol: 3 Steps Versus 6 Steps for Performance of Hand Hygiene in a Cluster-randomized Trial 
Tschudin-Sutter, et al. Clin Infect Dis. 2019;69(4):614-20.
 
スイスのバーゼル大学からの報告です。
現在、WHOは手指衛生を6 steps法で推奨しています。簡便な3 steps法でも、手指の細菌は十分に減ることが報告されており、実際の臨床現場で 3 steps法を導入したら、手指衛生の遵守率がどうなるかをみた研究です。
 病院の12の病棟を2つのグループに分け、3 steps法と6 steps法で手指衛生を行うように指導しました。
 合計2923回の手指衛生を行うべき場面を観察しました。全体の遵守率は70.7% (2066/2923回)でした。3 steps法の病棟では、遵守率は75.9%で、正しい方法でできていた割合は51.7%でした。一方、6 steps法の病棟は、遵守率が65.0%で、正しい方法でできた割合は12.7%でした。どちらも、3 steps法が優れていました。一部のスタッフの手指を検査し、手指衛生の後に細菌がどのくらい皮膚に残っているかを検討しましたが、2つの方法による差はありませんでした。
 結論としては、3 steps法を選択したほうが、手指衛生の遵守率が向上し、正しい方法で手指衛生を行う割合が改善する。細菌の残存に関しても、2つの方法に差はない。
 
 3 steps法は、米国CDCも推奨していますが、本研究の方法とは、少し内容が違うようです。感染管理の担当者があまり、厳密な方法を求めて、手指衛生の向上を図るよりも、忙しい医療現場では、簡易に簡便にできる方法のほうがスタッフには受け入れられるということでしょう。
 当院での、手指衛生の遵守率も決して高くはないですが、手指衛生の方法を見直しても良いかと考えさせられる論文でした。
 
 
本研究で使用した 3 steps法