Pertussis infection in infants and children: Treatment and prevention
マネジメント
入院適応
・呼吸窮迫、多呼吸、陥没呼吸、鼻翼呼吸、喘ぎ呼吸、呼吸補助筋を使った呼吸
・肺炎
・経口摂取不良
・チアノーゼ、無呼吸
・痙攣
・4ヶ月未満の症例
隔離対応:標準予防策に加え飛沫感染予防策を実施。この措置は、有効な抗菌薬が開始されてから5日間は実施する。治療されていない患者については、症状発症から21日目まで実施する。
退院基準:最低限以下を満たす必要がある
・咳嗽発作が起きても、低酸素血症や徐脈にならない
・十分な経口摂取可能
・家庭で看病できる人がいる
・頻回の外来フォローができる
保存的治療:これが治療のメインになる
水分管理と栄養、咳嗽の管理(運動、寒冷刺激、鼻咽頭吸引を避ける)
オピオイドに関しては、明らかに有害性が勝る
抗菌薬
適応:発症後7日以内の早期に投与されたら、症状の期間を短縮し、感染の拡大を抑制する可能性がある。特に、6ヶ月未満の乳児においては抗菌薬投与が重要。
・1歳以上では発症から3週間以内、1歳未満では6週間以内であれば、培養でB. pertussis陽性またはPCR陽性となった症例に対して、抗菌薬を投与する。
・発症から21日以内で、臨床的に百日咳と診断された小児には抗菌薬を投与する。(検査結果が判明する前に、臨床的に疑えば抗菌薬を開始する。)
・発症から21日以上経過している場合でも、明らかに百日咳と思われる患者との接触歴がある場合など、疑いが強ければ治療して良いかもしれない。
早期治療は、症状の程度を軽減するかもしれない。しかし、多くの患者は、痙咳期になるまで医療機関を受診しない。感染性が最も強いのは、カタル期と発症から3週間以内の時期である。この時期に抗菌薬を投与すると、鼻咽頭からB. pertussisを除菌でき、感染伝播が減少する。
・生後1ヶ月以降:アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンのどれでも良い。FDAでは6ヶ月未満のアジスロマイシンとクラリスロマイシンの使用適応はない。しかし、アジスロマイシンは、乳児の治療と予防に一般的に用いされる。
エリスロマイシンよりアジスロマイシン・クラリスロマイシンは投与回数が少ないので良い。アジスロマイシンの治療完遂率は90%を超える。
ST合剤は、生後2ヶ月以降のマクロライドが使用できない症例での代替薬である。βラクタム系抗菌薬は、B. pertussisに対する活性がまちまちであり、推奨されない。キノロンとテトラサイクリンも乳幼児には推奨なし。
Recommended oral antimicrobial treatment and postexposure prophylaxis for pertussis, by age group
Age group
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Primary agents
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Alternate agent*
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Azithromycin
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Erythromycin
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Clarithromycin
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TMP-SMX
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<1 month
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Recommended agent; 10 mg/kg per day in a single dose for 5 days (only limited safety data available)
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Not preferred; erythromycin is associated with infantile hypertrophic pyloric stenosis; use if azithromycin is unavailable; 40 mg/kg per day in 4 divided doses for 14 days
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Not recommended (safety data unavailable)
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Contraindicated for infants aged <2 months (risk for kernicterus)
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1 through 5 months
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10 mg/kg per day in a single dose for 5 days
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40 mg/kg per day in 4 divided doses for 14 days
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15 mg/kg per day in 2 divided doses for 7 days
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Contraindicated at age <2 months; for infants aged ≥2 months, TMP 8 mg/kg per day, SMX 40 mg/kg per day in 2 divided doses for 14 days
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Infants (aged ≥6 months) and children
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10 mg/kg in a single dose on day 1 (maximum: 500 mg); then 5 mg/kg per day (maximum: 250 mg) on days 2 through 5¶
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40 mg/kg per day in 4 divided doses for 7 to 14 days (maximum: 2 g per day)
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15 mg/kg per day in 2 divided doses for 7 days (maximum: 1 g per day)
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TMP 8 mg/kg per day, SMX 40 mg/kg per day in 2 divided doses for 14 days (maximum TMP 320 mg, SMX 1600 mg per day)
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Adults
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500 mg in a single dose on day 1 then 250 mg per day on days 2 through 5¶
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2 g (base) per day in 4 divided doses for 7 to 14 days
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1 g per day in 2 divided doses for 7 days
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TMP 320 mg per day, SMX 1600 mg per day in 2 divided doses for 14 days
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TMP-SMX: trimethoprim-sulfamethoxazole (cotrimoxazole).
* TMP-SMX can be used as an alternative agent to macrolides in patients aged ≥2 months who are allergic to macrolides, who cannot tolerate macrolides, or who are infected with a rare macrolide-resistant strain of Bordetella pertussis. One double-strength tablet contains trimethoprim 160 mg with sulfamethoxazole 800 mg.
¶ A shorter course (ie, 3 days) of azithromycin for treatment or postexposure prophylaxis of B. pertussis has not been validated and is not recommended.
治療期間:アジスロマイシン5日間、エリスロマイシン14日間、クラリスロマイシン7日間、ST合剤14日間である。
生後4ヶ月未満の症例について
重症化のリスクが高い。WBC>30000 ではPICUでの管理を推奨。
抗菌薬は疑った時点で直ちに開始。
専門家には、24時間の心拍呼吸モニター装着と12時間おきのWBC数の確認を推奨している人もいる。
生後60日以内では、レントゲンとエコー(PHの確認)を推奨
百日咳による呼吸不全、PH、心不全では、交換輸血・白血球アフェレーシスが有効との報告もある。しかし有効なのは、重症化したり多臓器不全になる前に実施できた時に限る。
重症例
肺炎では、以下の重症の症例で交換輸血を推奨する
・WBC>25000かつリンパ球数>12000かつ以下の1項目以上を満たす(心原性ショック、肺高血圧、臓器不全)
・WBC>48000かつリンパ球数>15000
・WBC>30000かつリンパ球数>15000で24時間以内に50%以上の上昇をしている場合
他にも、HR>170、RR>70、SpO2<80%では交換輸血が適応になる。
交換輸血で改善しない場合には、ECMOで救命できる可能性がある。ECMO導入した61症例の死亡率は70.5%である。その際には、百日咳の集中治療経験のある専門家にコンサルトする。
参考URL
予防
CDCとAAPの推奨に準拠
曝露後予防
適応とタイミング:曝露後予防が推奨されるのは、患者(index case)と家庭内接触または濃厚接触があった時、百日咳の重症化リスクが高い個人が曝露を受けたときである。曝露した個人のワクチン接種回数に関わらずに実施する。曝露後予防は、index caseが咳嗽発症21日目までに開始された場合に、最も効果が高い。Index caseがすでに発症から21日以上が経過している場合の、意義については不明である。
濃厚接触の定義
・同じ家庭内で生活している
・症状のある患者と3 feet以内に対面し曝露した
・症状のある患者の気道・口腔・鼻分泌物に直接接触した
・1時間以上、症状のある患者と限られたスペース内で隣接していた
学校での流行の場合などでは、学校全体やクラス全体への曝露後予防は通常は推奨されない。
高リスクの定義
・1歳未満の乳児 特に生後4ヶ月未満
・妊婦
・免疫不全患者
・慢性肺疾患、呼吸不全、嚢胞線維症などの慢性疾患患者
・乳児と接触のある人
曝露後予防を行うかの決定には、患者の感染性、曝露の程度、曝露者が発症した場合の重症度、二次曝露が起きたときの重要性を加味して決定する。
曝露後予防内服中の無症状の個人は、ハイリスクの人との接触は避けなくてはならない。曝露後予防の硬化は、エリスロマイシンでは68%と報告される。
曝露後予防内服のレジメンは、治療と全く同じである。
予防接種
すべての人が年齢に応じた百日咳に対する予防接種を受けるべきである。
・ルーチン接種→特に小児、青年期、成人(妊婦)では最も重要な政策である
・接触者の予防接種→曝露者が予防接種を完了していない場合には、速やかに推奨される予防接種を受ける。
・百日咳罹患後の予防接種→罹患後には免疫が作られるが、免疫が維持される期間については不明である。AAPでは、百日咳に罹患した小児も、年齢に見合った予防接種を受けるべきであるとしている。
・新生児期の予防接種→現在、研究中
感染管理
外来では、症状のある患者は、5日間以上の有効な治療が行われるまでは、ハイリスク者との接触を避ける。治療されていない場合には、この期間は発症から21日間となる。