小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児に鼻汁吸引をやると、気道感染症状の回数は減らないが、症状持続期間と症状の程度が軽くなる

The impact of nasal aspiration with an automatic device on upper and lower respiratory symptoms in wheezing children- a pilot case-control study
 
Pizzulli, et al.  Ital J Pediatr. 2018 Jun 14;44(1):68. doi: 10.1186/s13052-018-0489-6.
 
 ドイツで行われた症例対照研究です。DuoBabyネブライザーという吸入器(オムロン製)に、鼻汁吸引機能が付いた機械と付いていない機械を貸してみました。
症例は生後3−72ヶ月で、喘鳴の既往が有り、喘鳴を呈している小児です。90日間の観察期間中に、保護者がスマホから電子記録をつけて、子供の症状を記録しました。
 89名(43名が吸引あり、46名が吸引なし)が研究を最後まで終えた。
 吸引機能があった方が、上気道・下気道症状を呈する日数が少なくなり、サルブタモールの吸入を行った日数も減りました。上気道・下気道症状のエピソード(≒感染の回数)は変わりませんでしたが、症状が持続する日数が短くなりました(3.8 vs 4.4日)。一方で、気道症状を呈する頻度は変わりませんでした。
 
 自動の鼻汁吸引機能が付いた吸入器は、気道症状の持続期間や症状の程度を緩和する。