小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

細菌性髄膜炎では末梢血中の好酸球が減少する

Eosinopenia as a marker of diagnosis and prognostic to distinguish bacterial from aseptic meningitis in pediatrics.

 
Debra A, et al. Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2019 Jun 22. doi: 10.1007/s10096-019-03614-y. [Epub ahead of print]
 
 重症感染症では、好中球が増加し、左方移動することが有名ですが、同時に好酸球の減少が起きます。細菌性髄膜炎とウイルス性髄膜炎で、末梢血中の好酸球数に差があったかを後方視的に調べたフランスからの研究です。
 細菌性髄膜炎が45例、ウイルス性髄膜炎が73例、起炎菌不明の髄膜炎が33例です。
 好酸球減少を<100/mm3としたときに、AUCは0.79でした。CRPやプロカルシトニンよりは低い値でした。好酸球数<5/mm3では、感度 80%, 特異度 73%でした。
 結論として、好酸球減少のみで細菌性髄膜炎を区別することはできませんが、血液分画のみで判明するので、追加の検査が必要なく、追加費用がかからないことから、参考項目の1つとして注目して良いかもしれません。また、途上国など医療リソースが無い状況ではマーカーの一つになるかもしれません。
 もちろん、細菌性髄膜炎は致死的な疾患であるため、疑ったら髄液検査、疑ったら治療を始めるという姿勢が重要なことに変わりありません。